天ケ森ガラス絵館、それは岩手県遠野市附馬牛町(つきもうし)というところあります。
ガラス絵作家の児玉房子さんのガラス絵が飾られているのです。
児玉さんとの出会いは2003年、京都でした。
そこで、瀬戸圭子さんとガラス絵作家の児玉房子さんに出会いました。
私はまだコンサートを始めたばかり、
情熱だけが取り柄の琵琶語りをしていた、と思います。
瀬戸さんは児玉さんの絵に惚れ込んでいて、
児玉さんの描いた、コスタリカのガラス絵の企画展をしていました。
そこに私が飛び込んだのです。
すぐに2年後、京都思文閣美術館での、ガラス絵展が決まりました。
大きな美術館です。その題は宮沢賢治の作品。
そのために私は宮沢賢治の作品を琵琶で創作することになりました。
そして、遠野の民話、オシラさまの話しも。
駆け出しの私に琵琶で創作をする道に背を押してくれたのはこの二人。
私たち三人は、お互いの存在を励みにしていました。
「あなたは自分が思っているよりもずっといいのよ」
と児玉さんはいつも言ってくれ、たくさんの演奏する機会をくれたのです。
ガラス絵館を遠野につくって2年。
児玉さんは5月に亡くなってしまいました。
先日ガラス絵館の前の広場でお別れの会があり、
琵琶を弾いてきました。
賢治のよだかの星、風の又三郎、おしらさま、祇園精舎。
風が吹き、鳥が鳴く。
誰もがそこに児玉さんがいると信じられる、そんな時間でした。
平和を願い、美しいガラス絵を描き続けた人。
質素で、清らかで笑顔を絶やさなかった人。
皆、児玉さんに励まされたと言っていました。
児玉さん、あなたが私の心に残してくれたものは
とてつもなく大きいのです。
今でも私の耳に児玉さんの声が聞こえてきます。
あなたはとてもいいのよ、がんばって。